漢字の先生

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漢字研究の第一人者として高名な白川静氏が、先月30日になくなっていたとの報道があった。なんとも残念だ。

岩波新書なんかの漢字の本を読むと、全然思ってもみなかったような成り立ちなんかが書いてあったり、とある先生のネタ元になっていたりと結構関心を持っていた。

さらにいうならば、出身地が同じであり、親しみを持っていた。いつかは白川先生の講演を聴いてみたいと思っていたけれど、果たせなくなってしまった。

経歴であったり、残した仕事を聞くと、本当の大学者というのがぴったりくる。
資本主義社会において、研究というとどうしても理系の、しかも花形先端技術やバイオなど、ノーベル賞に関わるようなことがちやほやされるが、そういう世間を超越して、学問としての漢字研究というのを一筋で生涯なしていったのはとてつもない精神力だと思う。

それは、人の評価を当てにしない、独自の信念を貫くことだろう。

いっときは研究を、とは思っても、それを一生涯、脇目もふらずやる、というのは本当に難しい。友人から聞いた話では、戦争中も研究に没頭していて終戦に気づかなかったというほどだ。それがいいのかどうなのかというのは別にして、周囲の状況に振り回されることなく何かをやるというのは、個人的にはまねできないなとつくづく思ってしまう。

そういう志を阻害しない、またそういう学者を支えられる社会で今後あり続けられるのか、白川先生の死後こそ本当に問われるする。