工房的都市論17 地下都市と首都と

IMG_4930.JPG大本営跡なる場所に行ってきました。といっても、すげー前で、書きあぐねていたのですが。

さて、大本営跡地は、長野県長野市の松代地区につくられた地下壕のこと。大本営とはそもそもなんなのかというと。戦時の天皇直属の最高統帥機関、とのこと。ようは戦争の指示をする場所、でしょうか。それが、戦争末期、東京が危なくなった時の疎開先として、松代に地下壕を掘って移設しようと計画され、昭和19年の11月から本格工事がはじまり終戦とともに工事が中止された跡地が現在に残っています。

長野市の案内はこちら
松代象山地下壕のご案内 - 長野市ホームページ

そんな施設だからきっと厳重に管理されていて、案内とかもしてるのかな。。。と思ったのですが、入り口でおっちゃんに訪ねるとそこのヘルメットかぶってねとだけ言われてあとは自由に穴の中へ。拍子抜け!
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入り口から降りていくと結構狭いなあとおもっていたのですが、穴蔵を進んでいくと思いのほか広い空間が広がり、碁盤の目状に縦横に穴がのびていることがよくわかります。

そして思いのほか壕が長く、500mほども内部に入ることができます。うへー!とおもって最終端まで行ったのですが、そこで一人、しかも、山の下に掘られた穴の中。照明があるから明るいけど、万が一なにかおこったら、俺終わる、と、思い出したらとたんに背筋が寒くなるなど。さらに頭をよぎるのは、工事にあたって、朝鮮半島出身の方々が強制労働させられなくなった方も居ると刻まれたの入り口にあった石碑のこと。思わず手を合わせて回れ右しました。

70年もまえに掘られたとは思えず、いまだに掘削された岩盤の生々しさがあります。入場無料、地下好きのかたはぜひどうぞ。

で、都市論の話になるんですが、戦争をしていた頃の日本の首脳部は、首都という都市の機能をどのようにとらえていたのか、ということです。以下、若干由なし事をつらつらと。

(いろいろと本が出てるんですね)


この大本営跡といってますが、移転するのは政府機関、日本放送協会(今のNHK)、中央電話局(今のNTTですね)、それに大本営と皇居などが想定されてました。大雑把にいうと、頭脳と神経だけを疎開して、肉体はどこへ?といった様の移転計画だったようです。

端的には、首都機能というのは、本当に首から上の機能が他の都市と峻別できる要素であることがわかる事例です。すなわち、都市間のネットワークで全体の振る舞いを規定しうるような特異な都市が首都であろうと考えられます。

もちろん、都市生活者にとっては、飲み食いに電気など考えるべきことありです。松代の大本営跡では、例えば水にかんして、陸軍登戸研究所に話が展開するのですが、これは後日。

さて、興味深いのは、個別のコミュニケーション手段である電話だけあれば戦争指揮ができるんじゃないだろうかとも思うんですが、マスコミュニケーション手段であるNHKが一緒に移転しようとしていたことです。大本営発表などという言葉が今でも使われますが、放送も一つの権力機構として欠かせないと考えられていたという事でしょうか。

つまり、国民へ呼びかける、ということが、軍隊や官僚機構のように、上意下達のピラミッド型ではないモノであるという事かと考えられます。

終戦の詔勅と呼ばれる、戦争終了宣言は、まさに放送によって全国に伝えられた事をみても、興味深いです。あるいは、地中に潜み、全国に檄を飛ばすために、また放送というものをとらえていたのかもしれません。なんで無茶な戦争に突入したか、また、それを止めるにはどのような仕掛けが必要だったのか、明治以降の日本で作り上げられた国民と天皇という構造がなにならよく現れているようです。

とはいえ、地下空間で生活するとなったときに、生き物としての人間存在をどう考えていたかというと、これは厳しいものであったろうと思います。失礼ではありますが、冗談みたいな構想であると感じざるを得ません。子どもの頃の秘密基地を本気出して作ってみた、というにはあまりに本気すぎたきらいがあり。

さて、現在の東京を見てみますと、霞ヶ関は当然、放送キー局、新聞各紙の拠点があります。ところが、この記事が載っているのは、インターネット上になります。これは、放送とは異なっていますが、公衆に情報を伝播することできる手段です。データセンターやネットワークの基幹などが落とされると困ってしまいますが、疎開にあたって放送局を持っていこう、とまではしなくても十分情報伝達ができそうです。

そうなると、仮に本気で疎開をしないといけない事態になった場合、また国が国として存立するには、どのような人々と機能を疎開するのか?を現代の視点から考え直すと、一つ興味深い考察ができそうかもと思います。

などなどと思うんですが、飲み屋さんや妖し気な路地の無いとしというのは、果たしてなんんだろう、そっちの方が気になる昨今なオチでございました。